2017年03月01日

木村とカエラ

もし木村カエラが、芸能界とは無縁のまま庶民的な独身OLとして過ごし、そろそろアラフォーという域に突入したら、きっとこんな感じだろう。そんな女性が、やや空いている地下鉄の斜め前に座っていた。

木村カエラに例えるぐらいだから、美人といえば美人。しかし、そう例えられるような顔をしていることで、比較対象が木村カエラになってしまうので、著しく損をしていると思われる。言ってみれば、木村カエラが「カエラ」なら、彼女は「木村」なのだ。

やや前のめりに首を突き出すような姿勢でスマホをいじっている木村の姿勢は、決して見苦しいものではないが、カエラなら、人前でそんな姿勢になることはないだろう。そういったものが醸し出す雰囲気として、とてもカエラには太刀打ちできない。

仮に「東京たられば娘」っぽいドラマのエキストラを決めるオーディションに行ったとしたら、カエラは「美形すぎる」という理由で落とされるが、木村は「リアル過ぎる」という理由で落とされ、氷結レモンの500mlを2本買って帰るだろう。

勝手にそんなことを考えていたので、ついつい見入っていたら、不意に顔を上げた木村と目があってしまった。

次の瞬間、彼女は目を見開いて顎を引き、まるで10代妹系グラビアモデルのキメ顔みたいな表情をした。それが唐突だったので、気まずさも吹き飛んで、笑いをこらえながら目をそらしてしまったのだった。

図々しくも「え? 軽く意識されてる?」と思ってしまったが、そんなはずはない。よく考えると、スマホから目を離した直後だったのでピントが合わず、知り合いかな? と思って探っている顔だったのだろう。まあ、木村も若くはないから、目ぐらい霞む。

その後、二度とそちらの方向は向けなくなったので、彼女がどんな様子だったのかは知らないが、きっと再び、やや前のめりに首を突き出すような姿勢でスマホをいじっていたことだろう。

しかし、いまこれを書きながら思い返すと、木村がエスパーだったとしたら合点が行くことに気づいた。

「右斜め前方で、勝手かつ失礼な妄想をされてるな…ったく。今の姿はスイッチOFFだっつーの。ONにしたらカエラ側だっつーの。くやしいから一瞬だけ見せつけとくかー。よし、スイッチON!」

そうか、そういうことだったのか。いま、僕の中で、彼女の名前が「エスパー木村」になった。

ちなみに僕は、どちらかと言えば、カエラ派ではなく木村派なのかも知れないなと思うが、よくわからないし、それを決める必要性がこれっぽっちもない。
posted by オオタ at 22:57 | 雑文 | 更新情報をチェックする